ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.217

はしご酒(3軒目) その四十六

「バクハツスル ワカサ ニ チラリト」①

 気持ちよく酔った勢いで、調子にも乗り、更なる、プライベートな質問に踏み込んでしまう。

 「今日は、なにかあったのですか?」と私。

 「僕は、同窓会。奥さんは、お友だちと会っていた、んだよね」

 すぐさま、「そう、ホントに待ちくたびれたわ」、とZさん。

 なるほど、それぞれのイベント帰りに、ここで待ち合わせ、ということらしい。

 「同窓会ですか~、どうでした?」、という私の問いかけに、軽く笑顔を見せながら応えてくれるZ’さん。

 「実に久々の再会であったからね~、懐かしかったよ」

 「みなさん、お元気で?」

 「元気、元気、若さバクハツ!、恐れ入るよ」

 「凄いですね~。失礼ですけど、同い年ということで、それなりに、みなさん、そろそろ、完熟前後世代でしょ」、と私が思いきったことを言うや否や、慌ててZ’さん、その勘違いを訂正する。

 「ちがう、ちがう、私以外は、みんな同い年だけれど」

 「ん?」

 にわかに、その意味がわからなかった。

 「教え子、教え子、なかなか解散しないものだから、途中で退散させてもらった、というわけ」

 あ~。幸い、すぐにその謎が解けた。

 意外にも、Z’さんもまた、(とはいうものの、AくんもOくんも、あくまでも私の推測で、その域を出てはいないのだけれど)学校の先生であったのである。たまたまとはいえ、なんということだろう。

 「若さというものは、やはり素晴らしい。可能性が無限大、そんな逞(タクマ)しい空気で充満していたな~」

 先生として、心から喜び、そして、満足している、その気持ちが、充分に汲み取れる、そのZ’さんの表情の奥の奥の奥で、チラリと一瞬、嫉妬(シット)の虫が顔を覗かせたような、そんな気がしたのは・・・。(つづく)