ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.192

はしご酒(3軒目) その二十一

「コテサキ ノ カネモウケ ノ コウザイ」②

 個人のレベルでも、組織のレベルでも、国のレベルでも、多くの弱者の犠牲の上に成り立つ安易な小手先の金儲けに、ついつい走ってしまったことによる功罪について、いま一度、再考する必要があるような気がしてならない。

 そもそもがこの「功罪」、「功」と「罪」、「罪」だけならば、「罪」なんだから、そう簡単には過ちなど犯さないのだろうけれど、もう一方の、甘い汁を垂れ流してくれる「功」が、心を惑わしてくれたりするものだから、罪深いのである。

 政治の世界に目を向けても、どうしても「功」にばかり目が行きがちなように思える。その手に少々問題点があろうとも、なにか手を打たなければならない、次の選挙のこともあるし、ず~っと先のことより、とりあえずこの今を、それなりに見映え良くどうにかしとかないと、などという短期決戦を強いられた政治家の性(サガ)ゆえのことなのかもしれない。

 だがしかし、おそらく、いやきっと、この「功」にへばりつく「罪」が、あとになってジワジワと、ボディーブローのように効いてる。

 とくに「金(カネ)」と対峙するとき、その「金」には魔物が取り憑きやすいのだ、ということを、決して忘れてはいけない。「罪」と「魔力」との相乗効果、侮れないのである。

 ん?

 いや、むしろ、魔物が取り憑きやすいのは、「金」なのではなく、その金を扱う人の「心」の方であるのかも。

 そして人は、小手先の金儲けに走るのだな、きっと。

 それにしても美味しそうだ。

 滅多にカクテルなんて呑まない私だけれど、隣のZさんの(魔物が取り憑いている気配など微塵もなさそうな)表情を見ていると、ちょっとオーダーしてみたくなる、そんな気がしてくるから、不思議だ。(つづく)