ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.166

はしご酒(2軒目) その六十八

インパクト イゾン」①

 中味に少々自信がない時などに、とりあえず、インパクトのある言動でドカンと一発噛ましておいて、という手法がある。ナゼか妙に発信したがる政治家あたりも、この手法、結構、使っては悦に入っているようだ。

 そう、「とりあえずインパクト!」。

 戦略的には、一応、効果はある。

 仮に、澄ました顔をして、地味に物静かに語ってみたところで、誰が耳を傾けてくれるだろう。耳を傾けてくれないことには話にもナニにもならないのである。それゆえ、どんな手を使ってでも、注目を引かなければならない。

 そう、どんな手を使ってでも。

 ソレが、「とりあえずインパクト!」。

 たとえば、掴(ツカ)みが大事と、出足から派手に揚げ足をとる。思いっ切りバカにする。面白おかしく論点をずらす。

 たしかに、品はないが、ソレなりに効果はありそうだ。

 とはいえ、当然と言えば当然なのだけれど、この程度の「手」では、中身の薄さ、無さ、も、手伝って、たいていの場合、ドカンと一発なオープニングのわりには、見事なまでに右肩下がりに先細る。

 そして、こうしたことは、なにも、政治絡みの世界に限ったことではない。美術や音楽、工芸、文芸、舞台芸術、ファッション、そして、ネット上のアレやコレや、にも、その気配、見受けられる。

 もちろん、これもまた「この時代」なのだ、と、言えなくもない。が、私は、そうしたドカンと一発系の気配を、申し訳ないけれど、あまり、好意的に受け止めてはいない。(つづく)