ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.154

はしご酒(2軒目) その五十六

「ヒン!」①

 この世の中には、どこまでも理不尽な「リフジン(理不人)」と、ナニがナンでも道理に生きる「ドウリジン(道理人)」と、しか、いないのではないか、という、「世の中ジンジン」理論は、Aくんの数ある持論の中の一つである。

 彼の、その、少々極端ながらもなかなか核心を突く持論に、触発されたというわけでもないのだけれど、同じように、人の言動もまた、ドコまでもプンプンと臭う「オゲヒン(お下品)」と、ナニがナンでも香(カグワ)しい「オジョウヒン(お上品)」と、の、2種類しかないのではないか、と、(コレもまた少々極端かもしれないけれど)思ってしまう、今日この頃の私なのである。

 そう、ソレが私の「世の中ヒンヒン」理論。

 なのだけれど、もちろん、身なりや言葉づかいといった表面的なモノのことを言っているわけではない。この際、そんなモノはどうでもいい。かえって、そんなモノは、その内なるモノを、本性を、見え難くする。むしろ、トンでもなくジャマ、に、さえ、なったりするものだから、とかくこの世はヤヤこしい。

 私が思う「品(ヒン)」、とは。

 その言動から滲(ニジ)み出る、心の、魂の、有り様(ヨウ)のコトであり、その有り様が、下品なのか。上品なのか。が、問われなければならない。

 たとえば、表現の自由と差別の自由との違いを理解できないまま、お門違いの権利を声高に訴えるのは。あるいは、慇懃(インギン)無礼に、クソ丁寧に、同じフレーズを繰り返し、ひたすらゴマカそうとし続けるのは。

 さて、その品は、・・・。

(つづく)