ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.152

はしご酒(2軒目) その五十四

「ヒトカワ ムキタイ」

 自分自身の古びた皮膚を一皮むくことで、あらたなる自分に、みたいなことを、ある若いお坊さんから聞いたことがある。そして、そのお坊さんの話は、もう少しつづく。

 

 期待してはいけない。

 

 決して期待してはいけない、というコトバで、その時の話を終わられた。

 さすがに、コレは、なかなか受け入れ難い。期待することを捨てて、自分自身を一皮むく努力など、まず、私にはできそうにない。できそうにないけれど、なぜか気になる、そんな、その時の、その、コトバなのであった。

 すると、突然、Oくん、「そのお坊さんが言うてはる、期待したらアカン、の、その期待、の、意味っちゅうのが、ちょっと、ちゃうんかな~」、と。

 先ほどから、完全に存在感をかき消して、聞き手に徹していたOくんだけに、少し驚いてしまった私であったのだけれど、その「ちゃうんかな」の真相が、なんとなく気になったので、「どう違う?」、と、尋ねてみた。

 「自分自身以外に、っちゅうことなんやろな~、おそらく」、とOくん。

 なるほど、正真正銘のエライ人ならば、ひょっとすると、自分自身にも期待せずして、一皮むく努力ができるのかもしれないけれど、我々のような一般ピーポーの場合は、せめて自分自身にぐらいは期待しても良かろう、ということであったのかも、しれないな。

 「ひとかわ、むき、たい、む、きたい、っちゅうことで、おまんな~」と、またまた脳の前頭葉の老化臭が、プンプンと漂ってきそうなOくんなのだけれど、そんな老化疑惑など、シャシャシャ~っと払拭する勢いで、あのときの、あの、お坊さんが語られた「無、期待」を、ズッと忘れられないままでいる私が、ココにいる。

 良くはない、と、わかっていても、どうしても自分自身以外に期待してしまう、場合によっては、期待どころか、自分自身以外のせいにまでしてしまう。そんなこんなの今日この頃であるだけに、そうなりがちだけれど、ココは踏ん張りたい、どうにかしてでも踏ん張りたいと、思う。(つづく)