はしご酒(2軒目) その五十一
「ヘソマガリ ノ ジダイ」
「へそ曲がり」、皆の考えや行動に反旗を翻したときに、必ずと言っていいほど、そう言われたことを覚えている。
「社会性のないダメな子」というレッテルを貼るには、とても有効なこの「へそ曲がり」、なのだけれど、なんとなく妖怪の名前みたいだし、それでいて可愛さも振り撒いているし、ということで、いくら言われても、嫌な気はしなかった、のである。
Aくんもまた、この「へそ曲がり」仲間の一人で、同じように気持ちよく屈折した少年時代を送っていた、と聞く。
そして今、そんな可愛い「へそ曲がり」たちよりも、むしろ、世の中のほうが、ウンと怪しく屈折し始めたような、そんな気が、目一杯する中で、私は、いよいよ、「へそ曲がり」の時代がやってきた、のではないか、と、そして、さらには、この世の中の悪しき流れを、「へそ曲がり」こそが、くい止めることができるのではないか、と、いう、大いなる期待を、お腹一杯パンパンに抱くのである。(つづく)