ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.148

はしご酒(2軒目) その五十

「セイサイ ト ホウフク」 

 「制裁と報復」、イヤになるほど、呆れるほど、コレばかりである。

 この地球上の強大な権力を握ったシモジモじゃないエライ人たちによる外交というものは、いったい、どうしてしまったのだろう。

 とはいえ、実はこの「制裁と報復」、非常に巧みな外交手段なのかも、と、という思いも、ごく微量だが、ないわけではない。ならば、一度、コレと同じ手法で、友だちづくりでも恋人づくりでもしてみようか。

 さて、その「制裁と報復」作戦のその先にあるものは。

 よせばいいのに、Oくんに、そんな思いを、つい、調子に乗って、ちょっとその気にもなって、「そうした制裁と報復、その陰湿な応酬が、サド(sadistic)やらマゾ(masochist )やらを、巻き込んで、絡みに絡みまくらせているうちに、ネットリとした新たな愛のカタチを誕生せしめる、ということも」、と、語り始めた途端に、切れ味も鋭く、「そんなもん、ありまっかいな!」、と。

 あまりにも一刀両断な、電光石火な、Oくんの反撃。

 たしかに、Oくんの言う通り、友だちづくりやら恋人づくりやらでは、よほどのマニアでない限り、「ありまっかいな」、かもしれない、か。

 しかしながら、魑魅魍魎(チミモウリョウ)蠢(ウゴメ)く怪しげな政治や外交の世界では、我々シモジモであるエラクナイ一般ピーポーには到底理解などできない、極めて個性的で独特な、クセの強い新種の愛のカタチが、・・・・・・ないな、ない、やっぱり、そんなモノ、絶対に、ない。

 どうにかして、その肩を持ってみようかと試みてはみたが、無駄であったようだ。

 制裁と報復。

 こんな愚かな作戦に、この星の今、未来、を、照らす、いかなる希望の光も、あろうはずがない。

(つづく)