はしご酒(2軒目) その五
「アンテイ ワンダーワールド」②
「安定したいんかな~」とOくん。
「安定?」と私。
「公務員は、不安定に弱いんとちゃう?」とOくん。
「不安定?」と私。
「不安定やと、不安になってまうんやよな~」とOくん。
「不安?」と私。
「せやから、無難に、日々、過ごしたいんとちゃうんかな~」とOくん。
「お~、でました~ブナンミン、でも、それ相応に安定しているでしょ、公務員なんだから」と私。
「安定欲にはキリがないっちゅうことやな、所得とか肩書きとか、いろいろあるやん」とOくん。
「所得とか肩書きとかか~」と私。
「安定」の定義は、難しい。それぞれの価値観によって随分と変わってくると思うからである。それもまた「個性」ということなのかもしれない。となると、姑息と批判されようが、寄らば大樹の陰と揶揄されようが、安定を望むこともまた致し方のないことのような気がする。不安を感じながら生きていく、など、やはり、どう考えても辛すぎる。
しかしながら、Aくんなら、「価値観そのものを変えないとダメだ!」、と宣うのだろうな、きっと。
たしかに、一人ひとりが、自分自身の安定を最優先にして、そうした安定を求めているうちに、皮肉にも全体が不安定に、そして、回り回って、自分自身もまた不安定になってしまう、ということも、あったりするから、とかくこの世は、「グルリと回って不安定ワンダーワールド」なのである。(つづく)