ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.89

水菓子 その六

「ガッコ ノ センセ ハ セカイ ノ マドグチ」

 「学校の先生は、子どもたちにとって世界の窓口なんだ」、とAくん。「だから、自分が納得できないことは、安易に、無責任に、子どもたちに伝えるべきではない」、「それでも、それでも、それでも致し方なく伝えなければならないときは、そのことがもたらす可能性としてのマイナス面も、めいっぱい丁寧に伝えなければならない」、と、ガンガンと立て続けに熱弁をふるう。

 「学校の先生を通して子どもたちは、少しずつ世界が見えてくる。だからこそ、先生は面白い!、だからこそ、ファイトが湧いてくる!」、と、瞳をキラキラさせながら熱く語るAくんのその瞳のその奥の奥で、なにやらドンヨリとした疲労感のようなものが澱(ヨド)んでいる、のを感じてしまっていたのは、私だけだろうか。

 Aくんがよく口にしていた「失望と絶望」というコトバ、そのとき、ス~っと私の頭の中を低空飛行していった。(つづく)