ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.87

水菓子 その四

「マチ ガ ツブレル」②

 「ネットの強みである『ボーダーレス』、『グローバル』。たしかに、いかなる地域からでも世界中に発信できる。疲弊する地方の起死回生の一手、救世主となる、と、いう、そんな期待もあるにはある。でも、目に見えないネット空間にお金が落ちていく間に、皮肉にも、目の前にある商店街は、終焉に向かって加速。そして、数十年後、いや数年後にも、商店街は、その役目を終え、街から人が、賑わいが、消え、やがて、街が潰れる、街が消える、かもしれない、という、そんな危惧もまた、全くもって払拭できない。と、いうことは、ソコで生まれ、育まれてきた『文化』もまた消える、かもしれないということだ。となると、ボンヤリと見過ごすわけにはいかないだろ。なぜなら、文化は『命』。その命を、そう易々と疎(オロソ)かになんてできないからな」、と、Aくん、クレッシェンドに一気に捲し立てた。

 そうか~、なるほど、なるほどな。

 街もまた「文化」、文化は「命」。ナニもカも全て、繋がっているということか。

 Aくん渾身の、マジでとってもいい話。なのに、その、とってもいい話の合間の、ズルズルが、気になって気になって仕方がなかったことを、ナゼか今でもリアルに覚えている。

 そう、吉野本葛のくずきりをススるAくんの、「ズルズル」。

 結局、この問題も、その「ズルズル」のように、ズルズルと、ズルズルと、ナンの打開策も見出だせないまま、そのまま、そのまま、と、いう、そんな重たい未来を暗示しているのように聞こえてきて、私までもが重たく、重たくなってしまったのである。(つづく)