ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.82

水菓子 その壱

「ワクワク ガ ワクワク?」②

 そもそも、そうした「ワクワク」は、絶対に「相互ワクワク」でなければならない、と、私は確信している。片側だけの「ワクワク」は、悲劇を生む場合が多分にあるからだ。

 たとえば、「イジメ」。

 「明日もあの子をイジメようぜ。う~ん、想像するだけでワクワクする」。

 かなり極端な例ではあるけれど、残念ながら、充分にあり得る。そんな、 「ワクワク」の風上(カザカミ)にも置けないようなトンでもなくダークまみれの「ワクワク」がもたらすであろう悲劇。トンでもなく罪深い。

 コレこそが、片側だけの「ワクワク」。「相互ワクワク」の真逆に鎮座する悪魔の所業である。

 授業も同様で、生徒も先生も、ドチラも「ワクワク」できないと、それは、Aくんが宣うところの「ワクワク感満載の授業」というものからほど遠い、ということになるらしい。

 たしかに、「イジメ」ほどの圧倒的な悲劇感はないかもしれないが、それでも、授業の中で、そうした「ワクワク」感から弾き飛ばされた生徒たちの思いもまた、けっして、捨て置けるものではないはずだ。

 そして、「わからない」は、新たなる「わからない」を次から次へと増幅させて、ついでに、苦痛も絶望も悲劇も、悲しくなるほど大量に生み落としていくのである。(つづく)