止め肴 その八
「ソウゾウリョク ガ ナイヒト ハ ソウゾウシイ」
想像力は大事(ダイジ)。
想像力がないと大事(オオゴト)。
ダイジとオオゴト、読み方違いで大違いだ。
そんな想像力であるが、Aくんは、ことのほか、その重要性を訴え続けている。そして、さらにAくんは、「想像力のないシモジモじゃないエライ人たちに限って、コトが起こったときにヤタラと騒々しい」、と、少々キツイ調子で付け加える。
「ソウゾウリョク」がないから「ソウゾウシイ」?
ん~、・・・なるほど。
たしかに、高感度のアンテナをフル稼働し、前もって考えられるコトは全て考えておく、という姿勢で臨んでいれば、そう簡単にはバタバタなどしない、はずだ。ソコは私でも理解できる。とはいうものの、Aくんには申し訳ないけれど、その姿勢、ドコからドウ見ても容易いとは、到底思えない。ナゼなら、いつ起こるかわからないような、そんなコトのアレやコレやを、日々、考えて過ごすことなど、そうそうできることではないからである。
しかしながら、もう、そんな時代ではないのかもしれない。
そういえば、以前は、まだ、「想定外」という言い訳が、ある程度社会的地位を保っていて、時折、普通に耳にすることもあった。が、その後、そうした想定外が、あまりにもそこかしこであったりしたものだから、さすがに、もう、ほとんど耳にしなくなった。
そう、そうなのである。
時代は、もはや、想像力のないモジモじゃないエライ人たちがイニシアチブを取れるような、そんな呑気な時代ではないのだ。
イニシアチブとは想像力。想像力なき、ただ騒々しいだけのアタフタまみれのイニシアチブなど、絶対に御免被(コウム)りたい。(つづく)