ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.50

箸休め

「セイギ ハ カツカツ」

 「正義」というコトバが、青二才扱いされつつあるような気がしている。

 「平和」もまた同様で、「平和、平和」と言ったりしていると、「青いな~君(キミ)は」などと言われてしまったりする。

 「正義」も「平和」も、耳にタコができるほど、口が酸っぱくなるほど、言い過ぎるぐらいで丁度いい(それでも足らないぐらいだ)と私は思っている。が、世の中の大勢はソウではないようだ。

 「現実は、そんなキレイごとでは済まないんだよ」、と、目一杯、上から目線なのである。

 あの頃、そんな「正義」と「平和」の申し子と言われたスーパーヒーローたちが、ごまんといた。黎明期の熱きハードロックが大好きであったAくんも、幼少期に出会ったスーパーヒーローたちにゾッコンであったらしい。

 私は知らなかったのだが、私と同じぐらいの背丈で、私よりもウンと動きが遅い実写版『鉄人28号』というものまで存在していたというから驚きだ。はたして、どんな活躍をすることができたのか、とても気になる。

 そんな鉄人28号は、少々特殊なスーパーヒーローであるけれど、『七色仮面』、『海底人8823』、『宇宙エース』、『遊星少年パピイ』、『遊星仮面』、『宇宙少年ソラン』、などなどといった、あの頃の「正義」は、「正義」のヒーローは、この、屈折しまくった現代社会とは違って、なんのマヨイもテライもなく燦然と光輝いていたような気がする。まさに「正義は勝つ!」、そんな時代であったのである。

 もう、「正義は負けた!」、とまでは言わないが、Aくんがよく言っていたように、「正義は勝つ」ではなく「正義はカツカツ」だ、と、どうしても思ってしまう。

 もうカツカツ。ホントにカツカツ。

 ほんの少し油断しただけで、「正義」も「平和」も、ス~ッと目の前から消えてなくなってしまうのではないか、というドスンとした思いが、Aくんと同じく、私にもある。(つづく)