強肴 その六
「メーカーナラ ギジュツデ ショウブシロヨ」 (佃社長『下町ロケット』)
TVドラマも、侮(アナド)れない。
阿部寛が演じる佃製作所社長のココ一番での捨てゼリフ、「メーカーなら技術で勝負しろよ!」。このセリフの中に凝縮された単純明快な力強さは、「モノづくりニッポン」の魂の叫びだ、とAくん。
そういえば、Aくんが身を置く学校現場で、ナンのための、誰のための、そして、ドッチを向いているのだ、と首を傾げたくなるような、そんな、ほとんどワケがわからない雑務の数々が、ここ数年で激増している、という。
まさに、雑務が雑務を呼ぶ雑務雑務ワールド。
それゆえ、ココロが満たされない疲労感がドンドンと蓄積していく。この種の悪性疲労感は、心底、曲者(クセモノ)で、ジワジワと心身を蝕(ムシバ)む、蝕みまくる。
もしも佃社長が学校の先生ならば、こう叫ぶかもしれない。
「先生なら、授業で勝負しろよ!」
間違いない。
調子に乗って、Aくんに、言ってみた。
「佃社長なら、きっと、『先生なら、授業で勝負しろよ!』って、叫んでいますよね」
すると、Aくん。チッチッチッチッチッ、そうじゃないんだよな~、という表情を見せながら、なんと、すぐさま、訂正したのである。
「先生なら、授業で、授業だけで、勝負させてあげてよ!」
(つづく)