ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.28

鉢魚 その九

「キジムナーパワー」

 我が家のベランダのガジュマルの木は、我が家の誰よりも元気である。

 おそらくソレは、ガジュマルの古木(ちなみに我が家のガジュマルの木は、まだまだウブな幼木ではあるけれど)に棲むと言われている精霊キジムナーの、その、スピリチュアルパワーの賜物(タマモノ)であろう、と、かなり本気で思っている。そして、ガジュマルの木にとってのキジムナーのような、そんなパワーの源みたいなモノが自分の中にもあってほしいな~、という漠然とした願いも、コッソリとあったりする。

 

 そんな大層なモノでなくていい。なんでもいい。ナンでもいいのである。私の中にパワーを宿してくれるような、そんなナニかであれば。

 

 酔った勢いで、そんな感じのコトを、いつになく熱く語ってしまった私に、Aくんは、一瞬、ほんの少しだけ意地悪そうな表情を浮かべたあと、こう言ったのである。

 「ナニがその人にパワーを宿すかで、その人の本性みたいなモノが見えてくるよな」

 怪しい人間には怪しいパワーの源が宿る、ということだろうか。

 しかし、コレだけは言っておきたい。キジムナーは怪しい人の心の中には、まず棲むことはない。おそらくAくんは、この世界には、私が思っているキジムナーではない「キジムナーモドキ」のような怪しげなモノが、きっと、いるに違いないと思っているのだろう。

 それでも、もし、万が一にもソンな、Aくんが言うような、怪しい人にパワーを宿す怪しげなキジムナーモドキ、みたいなトンでもなく罪深いヤツがいるとしたら。この世は、結構、厄介なコトになってしまうかもしれないな。などと、考えたりしているうちに、ズンズンと気分が重くなってしまったことを覚えている。ただ、同時に、限りなく確信に近づいたモノも、一つだけだけれど、ある。

 ソレは・・・。

 ドコからドウ考えても、怪しき人たちと連(ツル)む罪深きキジムナーモドキ、コイツは、心清き本家キジムナーにとって、マジで大迷惑!、だということ。(つづく)