ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.20

鉢魚 その三

「ドッチムイテ シゴトスル~マン」

 動き出さないままスル~する「スル~マン」系の上昇志向型、らしい。

 愛すべきアホの聖地、「アホがアホ呼ぶアホアホワールド」は、やはり強者(ツワモノ)揃い、奥が深い。

 そう、ソレが噂の「ドッチムイテ、シゴトスル~マン」なのである。

 この「ドッチムイテシゴトスル~マン」も、先ほどの「イシバシヲタタイテ、イイコトスル~マン」のように、徹底的にナニからナニまで「スル~マン」なのであれば諦めもつくのだけれど、この手の上昇志向型は、そうは問屋が卸さない。己が進もうとする方向にだけはシッカリ進ませてもらいますぜ、という、人生の方向性というか人生哲学というか、とにかく、そういうモノだけはイヤになるほどハッキリとしているので、場合によっては、とくにAくんのようなタイプには、非常に反感を買ってしまいがちな宿命を背負っている。

 つまり、進もうと微塵も思わない方向にあるコトには、全く興味を示すことも動き出すこともない正真正銘の「スル~マン」なのだけれど、ソレが、自分にとってお得感ありありで、もちろん進ませてもらいますぜ、な、そんな方向にあるコトには、ナニがナンでも「スルマン」宣言!なのである。

 そうした、見事なまでに臨機応変なその姿勢は、皮肉にも、Aくんとは真逆のタイプの一部の方々には、圧倒的に理解やら支持やら賛同やらを得る。言い換えれば、「スル」と「スル~」の渾然一体型であり、仕事に臨むプロフェッショナルの姿勢としては、正しい有りようなのかもしれない。が、Aくんにはそんな理屈は通用しない。

 アホは永遠にスル~しておけ!、それが世のため人のため。

 相変わらずの、聞いているだけでドキドキヒヤヒヤしてしまうようなAくんお得意の毒舌ではあるけれど、よくよく考えてみると、こうした怪しい忖度(ソンタク)まみれのスルとスル~の渾然一体型たちには、Aくんが言うように、できることなら永遠に、何事に対しても公平に、スル~していてほしい気も、たしかにする。

 そう、公平に「スル」ことができないなら、公平に、スル~する。

 実に消極的な「公平」ではあるけれど、「不公平」よりは、ウンとマシかもしれない。

(つづく)