ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.11

向付け その壱

「ホレガホレヨブホレホレワールド」

 Aくんは学校の先生。授業に執念を燃やす。燃やしすぎて、時折、灰のようになっている。

 しかしながら、Aくん、「燃やしたからって、その燃焼が、熱量が、そのまま結果に繋がることは、まずない」、と、辛口の自己採点。

 Aくんは、さらに、宣う。

 いわゆる「空焚き」。だけど、「空焚きもまた良し」ぐらいの気持ちで臨まないと、到底やってられない、と。

 というわけで、トにもカクにもAくんは、空焚きであろうがなかろうが、授業に執念を燃やすのである。

 そんなAくんが、私は本当に好きなのである。いや、惚れていると言ったほうがいいかもしれない。

 ナニかに熱く惚れてしまっている人に熱く惚れてしまう、「ホレがホレ呼ぶホレホレワールド」。「アホがアホ呼ぶアホアホワールド」(この世界はこの世界で充分に興味深いのだけれど)とは、根本的にナニかが違う。

 地球規模の深刻な温暖化とは裏腹に、そこかしこで熱きモノが減少し、体感温度もグッと下がりがちな今日この頃。とくに、「職場」と言われる空間では、その傾向が強いような気がする。ひょっとしたら、先ほどの、ナンでも無難にこなしながら大海原を無難に無難に漂流するブナンミンやら、「出る杭は抜かれて捨てられる」やら、とも、関係があるのかもしれない。

 そんな、ググッと冷え込みがちな今日この頃であるからこそ、人は、熱きモノを心の中にギュッともつ熱き人に憧れ、そして惚れてしまうのだろうな。(つづく)