先付 その三
「ホシンヒューマクン」
アホがアホ呼ぶアホアホワールドのキャリア組。
ものすごい速球の持ち主なのに致命的な弱点がある。球が軽いのだ。だから変化球とコントロールをトコトン磨いたのが「ホシンヒューマクン」。
ところが、この変化球とコントロールが曲者(クセモノ)なのだ、と、Aくんは訝(イブカ)るのである。
ちょっと浪花節なAくんは、球が軽かろうが、たとえポンポンとホームランを打たれようが、こうなったら信じられないくらいの速球で、ナニも考えずにド真ん中に投げ込めばいいじゃないか、と力説する。
潔(イサギヨ)いモノは、真の感動をもたらすのだ、と。
でも、「ホシンヒューマクン」には、そんな感動よりも、もっと大切にしないといけないモノ、守らなければいけないモノ、が、あるようなのだ。
(気持ちはわからなくもないけれど)やたらプンプンと、鼻につくほど「保身」の臭いが漂うソコのところに、Aくんは、マジで苛立っているのだろう。(つづく)